お姫様は男装騎士
「あと、どれくらいで着きますか?」


「うーん、あと数時間はかかるけど…
もしかして酔った?」


と慌て始める父上。


「いえ、酔ってはいませんので、ご安心ください」


ときっぱり言うと父上は安心したようだ。


「ところで、何時まで敬語のままなのだろうか?」


と悲しそうな顔をする父上。


そんな顔をされると…


「分かりまし……わかったよ、父上」


敬語をやめざるおえない。


すると、


「やっと、普通に話してくれるようになったんだね!」


とパァーっと嬉しそうな顔をする父上。


やっぱり、かわいい人だなぁ。


「悲しそうな顔をされたらやめざるおえないよ」


と言うと、


「か、悲しそうな顔をしていた?」


と父上は焦っていた。


あっ、気付いていなかったんだ。


「うん。泣きそうな顔にもなっていたよ」


これは嘘だけど…


「えっ?!本当に!!」


「嘘だよ」


「もー!!冗談はやめて!」


と頬を膨らます父上。


あっ、からかうのが楽しくなってきたかも…。


ってか、先程から父上が崩壊してきてるような……。


気のせいかな?


気のせいにしておこう!


「あ、伝え忘れてたけど、
城に行く前に、まずは教会に来てもらうよ」


「えっ?!
どうして?」


「隣国の事について知ってもらいたいからだよ」


「なるほど…」


父上の教会か…
1度は行ってみたいと思っていたから、
良い機会かもしれない。


「どんな感じの場所?」


「うーん、楽しい場所では無いよ」


「それは分かっているよ。
教会が楽しい場所なんて聞いた事がないし…。」


「あっ、やっぱり」


と父上は笑っていた。


笑ったところを初めて見たかもしれない。


何時も微笑んでいるだけだから。


ふと外が気になったので見た。


先程とは違い、


街中になっていた。
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