お稲荷様のお呼びです!


口は閉じても、次は鼻がムズムズ、ピクピク動く。


へくちっ!と可愛らしくもないくしゃみが出ると、どこからかポンッと高い何かが弾ける音が聞こえた。


首を傾げて辺りを見渡しても、これといって何の変わりもない。


さっきに比べればだいぶ雨が止んできたぐらい。


鼻をかもうと鞄をガサゴソと漁っていた時だった。



「……あれ?」



軒下の隅に咲く一輪の白い花。


ここに駆け寄って来た時は、雨のことばかり気にしてて見えてなかったのかな。


ゆっくりと近づいてその花を眺めた。



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