お稲荷様のお呼びです!


今日の献立は決まってるから後は作るだけ。


部屋に行ってパパッと着替えて、手を洗って手際よく今日の夕ご飯を作っていく。


ホクホクのジャガイモたっぷりの肉じゃがに、鰹節がふにゃふにゃと踊るほうれん草のおひたし。


私が得意とするお味噌汁も忘れちゃいけない。


味見をしながら鼻歌を奏でる。


今日もいい感じに出来上がった。


いい匂いが台所に漂う頃、おばあちゃんの元へと向かう。


家の小さな離れで趣味に没頭するおばあちゃんは、ご飯の前まで裁縫に書道と忙しい。



「おばあちゃん、千代だよ。ただいま」



襖を開ける前に声をかけて、ゆっくりと襖を開けてひょこっと顔を出す。



「あれ?」



いつもなら机に向かって正座をして何かをしているのに、その姿が見当たらない。


すれ違いだったかな?


もう居間の方に行って私の作った夕ご飯を待ってるのかも。


急いで台所に戻ってお茶碗を用意して、作ったものをお盆に乗せて居間へ運ぶ。


いつもなら静かな居間が今日はやけに賑やか。


珍しくテレビでも見てるのかな?


襖を開けるために一旦しゃがんで、開けてお盆を持ち直そうとした。









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