お稲荷様のお呼びです!
……どうしたんだろう。
いつもと何かが違う嘉さんだったみたいだけど。
もしかして嘉さんまでも寝ぼけてたのかな。
だとしたら本当に……迷惑極まりないんだけど。
撫でられた髪をそっと触りながら、部屋の中へと戻る。
微かにさっきよりも明るくなった空を見ながら、布団の上へと座る。
朝からこんな事が起こると……嫌な予感がするなあ。
ふう……と息をついて棚の上の写真に向かってそっと苦笑いを浮かべる。
「お母さん、お父さん。今日も1日頑張るから……どうか、何もないことを願っててね」
頑張れと言うように太陽が差し込んできた。
気合いを入れ直して立ち上がり、寝癖のついた髪を整えて今日という1日を踏み出した。