お稲荷様のお呼びです!
こんな綺麗な花なのにここで咲いていたら誰の目にもつかないで、終わってしまうんだよね。
人の心を魅了するそんな力を持っているのに。
なんか可哀想。
じっと桔梗の花を見つめる。
ここでひっそり咲くくらいなら、家に摘んで帰ろうかな……
そんなことを考えているその時。
――シャン……リン……シャン
綺麗に響く鈴の音がどこからか聞こえてくる。
ふっと音のする方へ顔を向ける。
すると、急に空が明るくなり始めた。
あれだけ雨を降らせていた空が、急に静かに雨を降らせるのを止めた。