お稲荷様のお呼びです!
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人がほとんどいない場所まで行っても無言で突き進む。
どれくらい歩いたんだろう。
いつも使うバス停とは関係のない道に辿り着いていた。
辺りを見渡していると、嘉さんがため息をついて乱暴に私に掴まれていた手を振りほどいた。
「もういいだろう」
少し怒り気味に言った嘉さんは、長めの前髪をかき分けた。
無理に連れてきた私も悪いけど、どうして学校なんかにいたんだろう。
しかもあんな目立つ所で。
「まったく……そんなに俺があそこに行くのはまずいのか?」
「あんな急に来られても困ります!事前に言っておいてくれれば良かったのに!」
「近くを寄ったついでだ」
何かを誤魔化すようにそう言うと、今度は嘉さんが私の腕を取る。