お稲荷様のお呼びです!


こんな所、友達やら先生に見られてたら私ヤバくない?


でもなんとかしなきゃとは思うのに、何をしたらいいのか分からない。


ドタバタと慌てて色々と動き回る私だけど、腕組みをして私の様子を眺めていた嘉さんが片手で私の頭を掴んだ。



「落ち着け。よく見ろ」



そう言われてこの世の終わりを見るかのような目で、私はゆっくりと横を通り過ぎていく生徒達を見た。



「あ、あれ?」



驚いたことにこんなに目立つ嘉さんがいるっていうのに、誰もこちらを見ようとはしない。


それどころか私はこの場にいないかのように歩いていく。



「ほ、本当に見えてないの……?」


「だから言っただろう」



呆れた声でそういうと掴まれていた頭が解放される。


行くぞと小さく言うと、嘉さんはそのまま学校内へと入り込む。


後に続くように恐る恐る嘉さんの元へと駆け寄る。


靴を履き替えようとしたけど、自分が微かに浮いている事に気づく。


……これも嘉さんの力なのか。


関心しつつも気を引き締める。


こんな事するまでだから、きっと何かあるんだ。


嘉さんのいつもとは違うその目を見て、きゅっと拳をきつく握った。




< 132 / 253 >

この作品をシェア

pagetop