お稲荷様のお呼びです!


日中の姿とは違って放課後の学校は静けさの中に、部活を励む生徒達の声が響いて聞こえてくる。


吹奏楽部の聞きなれたメロディーに嘉さんの耳が反応してるように見えた。


それにはあまり触れないようにして、嘉さんの横へと歩み出た。



「……何かいるんですか?」



表情を変えずにゆっくりと周りを観察しながら歩く嘉さんに、聞きたかったことをようやく尋ねた。


ちらっと私を見ると、ため息をつかれる。



「もう少し緊張感を持て」


「ご、ごめんなさい」



なんかあるからこの様な状態になってるのは分かってるんだけど……


嘉さんの表情からして、結構面倒なものとしか捉えることしかできない。



「邪気が強いのかここ一体の空間が歪みすぎてる。何かとまでは俺も言い切れん」


「……また嘉さん危ないことしようとか、考えてませんよね?」


「お前を連れ回してる時点で察しろ」



あ、さいですか。


つまり……ヤバい事に頭突っ込もうとしてるわけねこの人。


また伽耶ちゃんに怒られるって言うのに……懲りないなあ。



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