お稲荷様のお呼びです!
一台のパトカーが学校前を通り巡回しながら、街の様子を見回っている。
そんなパトカーを横目にひーちゃんが口を開く。
「千代の住んでる地域は影響出なかった?」
「え、あ、うん。大丈夫だったよ。ひーちゃんの所は?」
「特に問題なし。でも一晩であんなに被害が出せるものなのかね。おかしいと思わない?」
何かに勘づいているような言い方に冷や汗が静かに流れる。
言いたいけど、言ったら後々大変な目に合うからここはなんとか誤魔化さないと。
「あんなの一人で出来っ子ないよね!きっと複数人でやったんだと――」
「あの亀裂なんて大型の機械か何かがなければ不可能。人の手でやれるようなものじゃない」
「うっ……」
答えづらい痛い所を突かれた。
答えられないなら話を変えるしかない。
でも、こういう時に限って頭は効率よく回ってはくれなくて話の話題がぽんっと出てこない。