お稲荷様のお呼びです!
こんな所にお金なんて入れてたっけ?
記憶を辿ろうとしても、思い出せない。
中から出てきたのは細長い小さな……
「縦笛だ!!!!」
思わず声を出してその笛の存在を頭に焼き付ける。
上半身を起こし、その縦笛を優しく抱きしめた。
私の中の希望の光がようやく現れた。
なんでこの笛の存在忘れていたんだろう。
戒哲が現れた時点で吹けば良かったのに!
大きく息を吸って笛に息を吹き込む。
音のなかった部屋に軽やかな音色を奏でた。
すると小さな光が部屋の中心に集まり始め、見覚えのある姿がそこに現れた。
「……っ!伊鞠くん!!」
正真正銘の伊鞠くんが現れて、嬉しさのあまり涙が滲む。
心細さが一気に消えて、バランスを崩しながらも立ち上がり伊鞠くんの元へ転がり込むように抱きついた。