お稲荷様のお呼びです!
あまりの近さに驚きを隠せず、体は硬直してしまった。
でも不思議と恐怖はない。
むしろ、この空気にこの感じ……知っている。
ハッキリとした記憶はないけれど、体はこの感覚を覚えている。
懐かしいこの感じに心臓が踊り、血が騒ぎ出す。
『この瞳に映る其方(ソナタ)も、桜花(オウカ)の瞳であるその目はしっかりと映る』
「……あの」
振り絞った声はどこかかすれてはいたけれど、きちんと龍には届いたようだ。
なんだ、と返事を返してくれ、そっと私の目線の高さに視線を合わせた。
その仕草さえも懐かしく感じるのは、一体どうしてなんだろう。
この暖かい気持ちに、胸が少し苦しい。
「あなたは……」
『其方の友とでも言っておこう』
「友達……?」
『ああ。それとも、こんな大きな友となると迷惑か?』
首を横に振ると、嬉しそうにたてがみを揺らした。