お稲荷様のお呼びです!
こんな弱いのが巫女の血を引いているなんて、なんか本当に申し訳ないな……
最後に嘉さんにありがとうとごめんなさいを伝えて終わりたかったというのに、それはできなさそうだ。
本当に何やってるんだろう、私。
ついこの間まで普通の女子高校生だったっていうのに、いつの間にかとんでもない事に巻き込まれてしまっていた。
でも、あの賑やかさは嫌いじゃない。
むしろ好きだった。
小さい頃からおばあちゃんと二人で暮らしてきた私には、あの賑やかさに憧れていた。
それが短い間だったけど体験できたのも……あの三人に出会えたおかげ。
あの時……雨宿りしてたあの時。
ふと思い出したあの言葉を呟いた事が始まりで。
嘉さんと出会って、赤い糸だのなんだの言われて始まった私の非日常的な生活が始まったんだ。
いつも怒って私のこと振り回していたけれど、何かと心配してくれる。
こんな自体になってること知ったら、怒られるだけじゃ済まされないかな。
でも怒るあの声も、もう聞けないんだ。
痛みと共に滲む涙がそっと頬を伝っていく。
ごめんなさい、嘉さん。
バキリと音と共に痛みを覚悟し、息を止めた。