お稲荷様のお呼びです!
いくら待っても来ない痛みに、内心首を傾げているとふわりと体が浮かび上がる。
ふわりと柔らかいその感覚にゆっくりと目を開けた。
「この馬鹿者めが!どこまで俺に迷惑をかければ気が済むんだ!」
そう耳元で叫ばれて、顔を上げれば綺麗な顔がすぐそこにあった。
怒りでこめかみに血管が浮き出ているのが、はっきりと見える。
嬉しさのあまりその首に抱きついた。
「嘉さん!来てくれたんですね……!!」
長い銀髪の髪が顔をくすぐる。
ふわりと香る嘉さんの香りが懐かしい。
驚きを隠すように嘉さんはくぐもった声を出しながら、ふんと鼻を鳴らす。
「色々と手こずらせた罰を考えておいてやるから覚悟しろよ、童!!!」
素直にこくんと頷くと、優しく抱きしめられた。