お稲荷様のお呼びです!
激しいぶつかり合いに大きく響く金属同士の鋭い音。
時折火花が散っては、小さく旋風が出来て消えていく。
大きく身を翻した嘉さんに、戒哲は勢いよく大鎌を振り下ろしていく。
……刀と大鎌じゃあ、圧倒的に嘉さんが不利だ。
でも攻撃範囲が広い大鎌だけど、次の構えに移るまでの時間がかかる。
その隙を突けば……可能性はある。
戒哲の顔色は変わらず、攻めの一本に絞っている。
嘉さんは相手の動きを把握するように刀を合わせては、距離を取るの繰り返しだ。
どこかで突かなきゃ体力的にきつくなる。
一歩タイミングを間違えればそれもそれで終わり。
時間との勝負でもあり、頭脳的にも必要になってくる。
……何か援護したいけど、動くなって言われている以上動いちゃダメだ。
でも何かしたくて体はうずうずする。
首をぶんぶんと横に振って気持ちを抑えるしかない。
助けが来たと言っても、ここで私がヘマしたらそれこそ全てが終わりだ。
とりあえず深呼吸をして、戒哲の動きを冷静に観察する。