お稲荷様のお呼びです!


妖でも霊でもない。


自分の力を取り戻すために戦う神様。


そういえばなんで力がなくなってしまったのか、その理由は聞いたことなかったな。


銀色の髪がふわりと風に踊る。


ただそれだけなのに、あまりにも綺麗な嘉さんを見つめた。



「なんだ?」


「あ、いや。嘉さんこそどうしたんですか?」



視線を逸らし、寝癖を直すふりをして誤魔化す。


見入ってました、なんて素直に言えるわけない。


そんなこと言ったら変な意味で心配されそうな気がする。



「少し俺に付き合え」


「え?」



聞き直した所で返事は返ってこないことは分かりきっていたけれど、ぐいっと腕を引っ張られた。


近づく顔に、ぎゅっと目を閉じているといつものようにふわりと体が浮く感覚に身をすくめた。





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