お稲荷様のお呼びです!
風が止んで、そっと目を開ければ彼は目の前にいた。
綺麗な瞳で私をじっと見つめ、口を開いた。
「童、今日から我に遣えよ」
突然言われたその言葉に、目を丸くする。
つ、遣え……よ?
状況が掴めないまま、再びサァっと風が私達の間を通り抜けていく。
すると、パラパラと何かが崩れ落ちるような微かな音が響く。
彼から見つめられていることを忘れて、驚きながら周りを見渡した。
光る破片が景色と共に崩れ落ちていく。
さっきまでの森がどんどんと拓けていく。
あれだけ古びた祠も綺麗な色彩を身にまとっていく。