ワケありルームシェア
「……見っけ。」
澄が画面を見せる。
画面に映し出されているのは大きな本屋。
「弓景眞白先輩はこの本屋にいる可能性がある。」
「本屋?なんでだろう……?」
「………分かんねぇけど、行くぜ。」
そして、走ろうとする澄。だが、ふと澄が何かを思い出したかのように足を止める。

僕を見る。

憐れむような目で。

「………何。」
苛立ちを含める。
「いや。」
澄は僕から視線を外し、哀川さんを見る。
「走れるか?澪月。」
「遅いけど頑張るね!眞白先輩のところに急ご!」
「螢、遅れるなよ。」
「うるさいよ。」
苛つく。すごい苛つく。
走り出す。走るなんてすごく久しぶりだな。
右足が痛むが気にしない。
疲れるとか気にしない。
ただ、今は走りたかっただけ。

< 134 / 175 >

この作品をシェア

pagetop