ワケありルームシェア
澪月side

一緒に帰る、なんて言っちゃったけど、話すことないなぁ。
何を話せばいいんだろう。
普通なら何を話すんだろう。

「あ、ねぇ、」
「あ、どうしたの?」
「学校行く時間ずらした方がいいよね」
「うん、そうだね。ここの近くに住んでる人は少ないけど通る人が多いから……。」
「じゃあ、僕先に行く。」
「えっ!いいの?」
「下駄箱に人が多いの嫌だから。」
「そ、そうなんだ。分かった、私後から行くね。」
「うん。」
今の会話でわかったこと。
緋山君は人混みが嫌なんだ。
確かに、人が多いのが好きそうな感じじゃないもんね。
うん、これから気をつけよう。

「ただいま。」
誰もいないけどつい行ってしまう言葉。
「お邪魔します……。」

「お邪魔します じゃなくていいんだよ?」

_______________だってここは緋山君の家でもあるんだから。

すると緋山君はそっぽを向いて、
「……………ただいま。」
と、小さく呟いた。

いつか緋山君も普通にただいまって言える日が来るのかな。
家族が増えたみたいで凄く嬉しい。

「おかえりなさい!」
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