ワケありルームシェア
澪月side

急に現れた長身の緋山君は何故かここの合鍵を持ってた。
きっとなにか行き違いがあったんだろう。
「あ、アレルギーとか、大丈夫かな。」
なにか苦手な食べ物とか。
食べれないものとか。
そもそも、私の料理が口にあうのかさえもわからない。



「あの、出来ました…………あ、」
ソファーに腰をかけて眠っている緋山君。
多分引っ越してきたから疲れてたんだろう。


「起こしてあげたいけど………。」
私は人に触れるのが、触れられるのが怖い。
小さい頃色々あったのだ。
また、触られるのだけじゃなく、人の視線が怖い。
目を合わせるのが怖い。
だからメガネなしでは生きていけない状態。

「でも、人は好きなんだよなぁ。」
人は優しい。
何の関係もない私を助けてくれる人もいる。
だから早くこの体質を直したい。
普通に人と接したい。


「じゃあ、これをチャンスにしてみようかな。」

ゆっくり、ゆっくり、肩に手を伸ばす。

「………んっ……………。」
もぞっと動くが起きる気配が全くない。

起こすのがだんだん申し訳なくなってくる。
「あ、起きるのを待って食べようか。」
うん、それがいい。


そして、緋山君が起きるまでの間待っていることにした。
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