ワケありルームシェア
学校へつくと、いつも通り奏汰先輩が校門前に立っていた。
「おはようございます。」
「お?今日は哀川君が一番だな。」
あ、昨日は緋山君が一番だったもんね。
「えへへ、そうなんです。」
「緋山君に落書きを知られたんだろ?」
「えぇ、まぁ。」

だけど、消すのを手伝ってくれた。
面倒だなんて言いながらも色々やってくれる人なんだな、と感じた。
「落書きの件なら俺たち風紀委員が言ってやるけど本当にいいのか?」
緋山君に落書きが知られる前から、奏汰先輩に知られていた。
それで、落書きをしている人たちから話を聞こうか、と言ってくれてるけど……。
「大丈夫です。私に直接の被害があるわけでもないですし。これは私の問題なので。」
私の問題は私が解決するだけ。
私のことでほかの人に迷惑をかけちゃダメ。
「そうか。ま、何かあったら言ってくれ。」
「はい!」

そして玄関へ向かおうとすると、先輩に呼び止められた。
「何ですか?」
「何かいいことあったのか?すごく嬉しそうだ。」
「えっ、顔に出てましたか!?」
「あぁ。その反応はあったんだな。楽しそうでなによりだ。」
「恥ずかしい……。」
すぐ顔に出ちゃうのは何とかならないかなぁ。
なんて考えながら、次こそ玄関へ向かい自分の教室に入った。
それからいつも通り黒板を消して、宿題を忘れていないか見て、本を読む。

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