無気力王子とじれ甘同居。
「期待とか、してないし」
「祐実の慌てよう、すげーツボ」
大貴はそう言って、お腹を抱えて笑う。
なによ。
別にこっちだって、本気でそんなこと思ってわけじゃないし…。
たまたまそういうことを考えていたから、びっくりしたっていうか…。
「いらっしゃいませ〜」
はっ!
気付けば行列の1番前まで来ていて、お姉さんが愛嬌のある笑顔でこちらを見ていた。
「ご注文はお決まりですか?」
「あ、はい…えっと…」
このお店のことはネットでたくさん調べてメニューも全て把握済みだ。
食べるものも前から決めている。
「クリームチーズ&チョコレートストロベリー生クリーム1つ!」
「以上で」
と大貴が付け加える。
「はい、かしこまりました。クリームチーズ&チョコレートストロベリー生クリームがお一つですね。お会計が────」
ん〜。
大貴が財布を取り出してる間、私は店内に広がる甘い香りをかいで楽しむ。