無気力王子とじれ甘同居。
「うまいよ!美味だよ!」
「…ちょっと」
「えっ、」
「食う」
嘘…。
今まで私がどんなスイーツをすすめても食べなかった大貴が?!
このザ・スイーツの代名詞であるクレープを食べるだと?!
「え、本当?!」
「あげたくなきゃいいけど」
「あげるよ!食べてよ!私は今この美味しさを共有したくてたまらないよ!」
興奮気味の私をよそに、大貴はすっごくクール。っていうか、いつもこんなクールキャラだっけ?
今日だけなんだか違う気がするのは気のせいかな…。
「ん」
大貴はそう顔をクレープに近づけた。
あ、これって…。
大貴はクレープを自分で持とうと手を出すそぶりを見せないで、クレープを見たままジッと待っている。
これ、世でいう『あ〜ん』になっちゃうけど…。
って、大貴相手になに思ってるんだか…。
私はほんの少し緊張しながら、大貴にクレープを向ける。
私の歯型がついた食べかけで申し訳ねぇ。
パクっ
大貴は思ったより大きな口でクレープを頬張った。
うっ…ちょっと食べ過ぎじゃない?!
いや、大貴のお金で買ったやつだけどさ!