無気力王子とじれ甘同居。
「…な、何して」
ゆっくりと松下くんの顔が私から離れると、彼とバチッと目が合う。
「うるさいから」
「…え」
うるさいから?
うるさいから…黙らせるために…キスしたっていうの?!
「っ、どいてよっ!」
私はそう叫ぶと、少し緩んでいた松下くんの手を振りほどいてから、自分の部屋へと走った。
────バタンッ!!
な、何がうるさかったからよ!
だからって…キスしなくても…っ
まださっきの感覚を覚えている唇に手を当てる。
っ……!!
「あーもうっ!!」
モテる松下くんにとって、さっきのキスはなんとも思わない行為だったのかもしれない。
だけど、私は…。
「ファーストキス…だったのに」
ベッドにバタンと倒れてからそう呟いた。