無気力王子とじれ甘同居。


「あ、あっこちゃん。なに」


松下くんが平然とあいちゃんのことをそう呼ぶので、教室が一層うるさくなった。



「なんで野沢さん、松下くんとしゃべってるの?」
「この間、カフェテリアで西村さんも一緒に話してたらしいよー」
「ってか、あだ名?!めっちゃ親しんだけど!」



「私の友達の友達の友達の友達が話があるんだって、校舎裏の駐車場にいるって言ってたから、一緒に来てほしいな」



っ?!


え!なにその話!!
あいちゃんめっちゃデタラメじゃんっ!!



「なんだまた松下、告白かー」
「いい加減、彼女作ればー?」
「何人目だよー」


松下くんの周りにいた男子生徒は口々とそう言う。



「…えー、君が代わりに─────」


「だめ。ちゃんと自分の口で言ってあげて。今回は多分、松下くんも結構気にいる子だと思うの」

っ?!


「んー…わーった」


松下くんはそう言うと、立ち上がってからあいちゃんの後についていく。



えっ?!


あいちゃん、一体、松下くんをどうする気?!


あいちゃんと松下くんはみんなの視線を無視しながら教室を後にした。



えっ?!


あいちゃん、どゆことー!!!



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