無気力王子とじれ甘同居。
「…誰」
何度かみたことはあるけど、名前が思い出せない。
「チッ…祐実の幼なじみだけど」
祐実の幼なじみ?
あぁ、思い出した。
こいつ、よく俺らの教室に来ては祐実に迫ってる男か。
祐実の幼なじみは、カフェにいる祐実の後ろ姿を見つけてじっと見つめた。
あいつのことが好きだと、知り合いでもなんでもない俺が言われなくてもすぐにわかるくらいこいつは祐実にぞっこんみたいだ。
その時─────。
自分でも、よくわかんねーけど。
祐実を困らせたかっただけなはずなのに。
「幼なじみねー、だからなに?」
「…はぁ?なんだその言い方」
「いや別に…」
わざと怒らせるようなそぶりで、クククッと笑う俺。