無気力王子とじれ甘同居。
「悪かったと思ってるよ!そこまで言わなくたって…」
「じゃ、行くよ」
「…へっ、ちょっ」
松下くんは私の手を掴まえるとどんどん玄関へと向かって行き、流れるようにドアを開けてバタンと鍵を閉めた。
「あの、松下くん一体どこに…?」
「着いてからのお楽しみ」
松下くんはそういって少し意地悪な顔で笑つた。
─────ドキッ
いや、いやいやいや。
ドキッてなによ。
松下くんがかっこいいのはいつものことじゃん。
かっこいいけどバカだし、意地悪だし。
でも今日はなんだか…。
私服だからなのかな?
いつもよりも髪がサラサラしてるような気がして、いつもよりも背が高い気がして、いつもよりも、肌が白い気がした。
『そいつの彼氏…だけど?』
え、もしかして私、この間の松下くんのそのセリフからちょっと意識しちゃってんの?!
そんなわけ…。
私は、ブンブンと首を振ってから、繋がれたままの手に緊張して松下くんの少し後ろを歩いた。