無気力王子とじれ甘同居。


突然、骨ばった白い手が私の右手を包み込んだ。


その手の主をバッとみる。


「…バカは祐実でしょ?ヤキモチ焼いちゃって」


「はぁぁっ?!」


意地悪に細めた松下くんの目は、ベージュの前髪に隠れていて、それが隙間から少し見える。

それが余計に私を見下してる目でムカつく。


「ヤキモチとか焼いてないしっ」


「焼いてたじゃーん。あの子たちが俺のことかっこいいって言ってたの聞いて悔しそうにしてさ」


うううっ!!!
こんなやつやっぱりかっこいいなんて前言撤回!!



「ほんっとバカ!自意識過剰!ナルシスト!赤点バカ!」


「ちょ、バカバカ言わないでよ。まぁナルシストは認めるよ、事実俺の話してたんだから仕方ないでしょ?」



「フンッ!!」


私は怒って顔をプイッと松下くんの反対に晒す。



「…今日の祐実、すげーいいよ」


「…えっ」


松下くんの優しい声が聞こえて思わず顔を松下くんの方に戻す。



「うっ…なんなのよ」



優しい声をかけたと思ってた松下くんはまた居眠りを再開していた。




『今日の祐実、すげーいいよ』



ちゃんと聞こえたその声に


私の心臓はまたいつもよりも速い脈を打った。



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