無気力王子とじれ甘同居。
「わー!!可愛い〜〜!!」
熱帯魚コーナーについて、私は水槽の近くまで走る。
色とりどりの小さな魚たちがたくさん。
「あ!!見て!松下くんカクレクマノミだよ」
水槽に触れないように、それでも間近でそれを見ようと、顔がくっつきそうなくらい水槽に顔を近づける。
女の子は誰でも、この魚が大好きに決まってる。
鮮やかなオレンジ色のその生き物は、イソギンチャクに隠れたりちょっと顔を出したりして可愛い。
「これは可愛い」
松下くんが私の隣に来て、クマノミを見つめながらそういった。
あっ。
クマノミがチラッと松下くんを見た。
今の完全に…。
「今こいつ俺のこと見たな」
ううっ。
やっぱり本人も気づいたか。
「やっぱり魚でも俺のかっこよさわかっちゃうんだな〜」
「自分で言わないでよ」
「なんで。ホントの話なのに」
あぁ。
私だって一瞬思ったさ。
クマノミも見ちゃうくらいイケメンなんだなって。
でも、性格は全然そんなことないんだからね。
心の中でクマノミにそう言い聞かせる。