無気力王子とじれ甘同居。


「ねぇ、見て松下く────うっ…!」


前を歩く松下くんに声をかけようとした瞬間、後ろからやって来た人にぶつかってよろけてしまう。



ガシッ



っ?!


「なに立ち泳ぎの練習しようとしてんの」


「はっ、?」


私の手を掴んだまま、松下くんが呆れた顔でそういった。


「地面で立ち泳ぎの練習なんかするからよろけちゃうんだよ…全く」


「はぁ?いや、松下くんべつに私立ち泳ぎの練習なんて…」


「祐実には無理だよ?クマノミみたいに可愛くないし」


「は?!だから立ち泳ぎじゃないし!歩いてただけだし!」


周りのお客さんたちが私たちの言い合いを聞いてクスクスと笑ってるのが聞こえる。


…恥ずかしい。



「もうっ、松下くんのバカ!」


「それは祐実でしょ?ほら、行くよ」


松下くんはそういうと、私の手をギュッと握ったまま次のコーナーへと向かった。



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