無気力王子とじれ甘同居。
「うわー!!美味しそーー!!」
水族館の近くのファミレスでご飯を食べたあと、松下くんが約束どおりパフェを注文してくれた。
フルーツがたくさん載っていて、スティック型のチョコレート菓子も付いている。
あぁ、もう目が美味しいと叫んでるよ。
「ご飯もたくさん食べたけど、これ入るの?祐実」
「え、だって約束だし。松下くん、別腹って言葉を知らないの?って…スプーン」
「手伝ってあげるよ」
松下くんはそう言って、手にパフェ用のスプーンを持っていた。
いや…食べる気満々じゃん。
べつに松下くんの奢りだからいいんだけどさ。
松下くんは嬉しそうに、キウイと生クリームをスプーンですくってから口の中に入れた。
「…っ!!やばい祐実!これうましだよ!」
松下くんは目を大きく開いて私にスプーンを渡してくる。
「あ、うん」
遠慮がちにスプーンを受け取ったのは、
それが完全に松下くんの使ったスプーンで。
ほんの少し緊張するから。
いや、なに今更こんなこと気にしてんのよ。
「いただきまーす」
平然を装っていちごをパフェのいちごをすくいとって、口を開いた瞬間
「間接キスだね」
松下くんがこちらをジッとみてそう言ったので、思わず手を止めてしまった。