無気力王子とじれ甘同居。


「ななななに!!は、入ってこないでよ!」


慌ててそう言って、バスタブの中で体を手で隠すようにしてからそういう。

まぁ、曇りガラスだから見えないと思うけどさ…。



「バーカ。残念ボディーに興味ない」


「うっ…うるさいっ!」



こっちはこんなやつのこと好きかもって気付いてるとこなのに…。


相変わらずひどい。



「なに?用があるならさっさと…」


「ごめんな」


「…え、」



急に松下くんが謝るなんて。



「やっぱ俺、振り回しすぎたよね」


「へ、いや…」


「祐実も大事な休みなのに、付き合わせて悪かった」



「謝らないでよ。楽しかったから」


悔しいくらい。
楽しかった。

この時間が終わらなければいいのになんて思った。



「でも祐実、帰りすげー疲れてたじゃん。眠って全然話してくれなかったし」



「…それは」



私が体を少し動かすだけで、水のピチャピチャと揺れる音がお風呂場に響く。




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