無気力王子とじれ甘同居。
「じゃあ、なんで逃げないの?」
「…えっ」
「いくら鈍感すぎる祐実でも、本能的に危ないと思ったら逃げるでしょ?今だって祐実、怒ってるってことは俺がイケナイことしてるってわかってるからだよね?」
イケナイこと…。
「……っ」
言葉に詰まる。
なんて言っていいのかわからない。
だって…。
「嫌なら泣き叫んで逃げようとすればいいのに」
松下くんの冷たい手が私の頬を触れる。
「…祐実はなんで、逃げないの?」
松下くんの言う通りだから。
「起きて」
「えっ…」
松下くんが突然私の手を取って体を起こそうとする。
「連れて行きたい場所があるんだ」