無気力王子とじれ甘同居。
上から低い声が降ってきたので、顔を上げると、そこには上半身裸の姿で髪を雑に拭いている松下くんがいた。
「…き、、きゃぁーー!!」
「…は?ちょっ…」
私は慌ててシンクから離れて、食器棚の方へ身を寄せる。
今すぐ顔を覆うために使いたい手は食器洗剤の泡で使えない。
「松下くん!ふ、服着て出てきてよ!」
彼のことを見ないように必死に目をつぶってそういう。
裸の松下くんを至近距離で見てしまった。
そのことに心臓はドキドキとうるさいし、顔も熱を持つ。
「…は?…あ、あぁ」
よかった。わかってくれたみたいだ。
本当、困るよ…。
よくもまぁ、女子の部屋を裸でウロウロできちゃうよなぁ。
私の心臓のドキドキも顔の熱も治まって少しほっとした時だった。
「大げさ。免疫なさすぎでしょ」
は?
松下くんは黙って脱衣所に向かってくれると思いきや、そう一言吐いてからキッチンを出て行った。