無気力王子とじれ甘同居。


中学に上がるのと同時に、突然遠い病院に移ることになった希和は、俺に一言も言わずに俺のそばから消えて。



両親同士は連絡を取り合っていたから、希和の手術が無事成功したことも、元気に学校に通えるようになったことも聞いていた。



だけど、


彼女への自然と抱いていた恋心が不完全燃焼のままだった俺は。


高校に上がって一人暮らしを始めるようになってからも、夜中、もう公園ではなくなっていて、木だけ残ってるそこに向かっては、木に登り月を眺めることをやめなかった。



俺が学校でずっと眠っているのは、そのせいだ。


ダサい。


昔の好きな人を引きずって、過去にしがみついて、前に進もうとしない自分。


誰にもバレたくなかった。


希和は元気だろうか


希和は俺の方を覚えているだろうか


希和は俺のことを…好きだっただろうか


月が光る夜中になればそんなことばかり考えて。



他の女なんて全く興味なかったんだ。



祐実と住むまでは。




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