無気力王子とじれ甘同居。
【side 祐実】



『俺さ…祐実が好きだ』


目の前で少し恥ずかしそうにしている、学校一の王子様。


ありえないよ。


松下くんが、私を好きだなんて。


松下くんは、冗談でも嘘でも真顔で言っちゃう人だし。

こんな言葉、鵜呑みになんてしない。


「意味がわかんないから…」


私はそう言って、私の口元に触れていた松下くんの手を掴まえる。


「そんなに…私のこと弄んで面白いかな?」


好きってなによ。
散々ひどいことたくさん言ってきたり、ひどいことたくさんやったのに。



『じゃあなんで、逃げないの?』


部屋で言われたセリフ。


そうだよ。
私は逃げなかった。


松下くんがおふざけでこう言うことするのはわかってて、でも嫌だと泣き叫ばないのは、やっぱりどこか、その時間が好きだからで。



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