無気力王子とじれ甘同居。


「祐実といるときは、カッコつけなくてもいいし、素に近い俺でいられるんだ」


「…素?」


「希和のそばにいるとき、彼女のことが大好きだったけど、俺が彼女を守らなくちゃ、しっかりしなくちゃって自分の中で勝手に思ってて」


「……」


「祐実のそばにいると、楽しいんだ」



私のご飯を食べたとき、すごく美味しそうにする松下くんの顔とか。


イタズラっぽく笑う笑い方とか。


皮肉れて子供みたいに言い返すところとか。


松下くんのことになるとすぐにたくさん彼の貴重な笑顔を思い出せる。



「ねぇ、祐実なんか言ってよ」



私の頬を両手で包み込んだ松下くんは、私の顔を軽く持ち上げるようにして、バチッと目を合わせた。



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