無気力王子とじれ甘同居。


心臓の音がうるさくて、あまり上手に声が出ないけど、勇気を出して口を開く。


「好きだよ…私も」


やっぱり目が合わせられない。


松下くんが今どんな顔をしているかなんて、恥ずかしくて見られない。


自分が自分じゃなくなっていくみたいで、正直怖いんだ。



「……」


ん?


人生で初めての告白をしたけど、告白を受けた本人の声が突然聞こえなくなった。


松下くんは、私の頬からスッと手を離していた。



「…松下くんっ?!」


恐る恐る目を松下くんに向けると、松下くんは私から目線をそらして唇を噛んでいた。



「……やばい泣きそうかも」



「へ?!ちょ、なんで!」



っ?!


松下くんは、私の肩におでこを置いた。



「今俺、すっげー嬉しい」


「…っ、」


そんなに近づかれちゃったら、ドキドキしてるのにバレちゃう。



「私もうまく言えないけど、松下くんといる時間は楽しいし…松下くんにああ言うことされても逃げなかったのは多分…好きだから」



私がそう言うと、松下くんは顔をあげた。



「…じゃあ、もう一回する?…キス」



っ?!


やっぱり松下くんの意地悪なところは変わらない。



< 228 / 270 >

この作品をシェア

pagetop