無気力王子とじれ甘同居。
人の気持ちは、案外簡単に動いちゃうもので。
「ムカつく。すげームカつく」
「……本当、ごめんなさい。たくさんしてもらったのに…たくさんもらったのに…」
「はぁ?」
私が謝ると大貴は首を傾げて余計不機嫌そうにした。
「あぁー!ほんっとバカ!祐実は昔っからバカだなー!そういうの!」
「へ?!」
「俺が今まで祐実にやってきたことはそもそも自分のためだし、見返り求めてやってたわけじゃねー。ムカつくっていうのは祐実にじゃなくて…」
「……?」
「俺に手加減しない松下と、あいつに勝てない俺に対してのムカつき」
「…えっ?」
「まぁ、松下が体育の授業出るくらいだ。あんな恥晒してでも焦ってたんだと思うと、ちょっとは勝てるとこあったのかなって嬉しいかな」
「大貴…」
「だから、祐実は何も悪くねー。俺は松下よりも祐実と一緒にいたのに祐実を手に入れられなかったのは、本当にただの俺の力不足だ」