無気力王子とじれ甘同居。

「あのね、松下く……」


「これ、食べていいの？」


「え……あ、うん…」


松下くんを叱ろうとしたけど、彼がダイニングテーブルに置かれた夕飯を見てそう言うので、ついうなづいてしまった。



私がうなづくと、その場でスクールバッグを置いてテーブル椅子に着席する松下くん。


「松下くん、手」


手洗いを促すと、松下くんはちょっと不機嫌な顔で私を見た。


はぁ？

なんで私がいけないこと言ったみたいになるのよ！


「松下くんが悪いんでしょ！」


「……」


松下くんは黙ったままキッチンで手を洗ってから、再び席に着いた。



全く…。


それでも、お皿にかけられていたラップを外す松下くんは、今日1番嬉しそうな顔をしていて。


それ以上、何も言えなくなった。


相当お腹空いてたんだな…。


今まで働いていたんだもんね。



「あ、冷えてるから温め───」


「大丈夫」


「あ、そう…」


「いただきます」


「あ、はい。どうぞ」


私は松下くんの前の席に座って彼の食べっぷりを見守る。