無気力王子とじれ甘同居。


「祐実どうした。顔赤いけど」

私の席に遊びにきてたあいちゃんにそう言われてハッとする。


「べ、別にっ!」


「まさか、一緒に住んでる女の子に恋でもしてるんじゃないだろーな?」


っ!!


「あ、あるわけないじゃん!」
慌てて手をブンブンと振って否定する。


「だって、すっごく可愛いんでしょ?」


「…か、可愛いけど(かっこいいの間違いである)」



相手が可愛い女の子であろうと、松下くんであろうと、ありえない。


第一、私の中では松下くんがかっこいいということよりも、マイペースで無礼な人だってことにイラついてることの方が大きいもん。


「愛子ちゃんっ!」


あいちゃんとしゃべっていると、教室の後ろのドアから聞きなれた声がした。


「渉くん!」


あいちゃんが目線をドアの方へ移してから声の主をそう呼ぶ。



工藤 渉(くどう わたる)くん。


あいちゃんの、一個年上の彼氏だ。



あいちゃんは「ちょっとごめんね」と言ってから嬉しそうに彼の方へ早足で向かって行った。




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