無気力王子とじれ甘同居。
「祐実!」
「あ、大貴っ」
教室のドアの方から私の名前を呼んで、こちらに手を振ったのは、幼馴染みの森山 大貴(もりやま たいき)。
「わりー祐実、数学の教科書貸してくんね?忘れてさ…」
「あ、うん。いいよ、ちょっと待ってて」
私はそう言って、ロッカーへ教科書を取りに行く。
幼馴染みの大貴とは、こうして忘れ物を貸し合うくらい仲がいい。仲がいいっていうか、腐れ縁っていうか…とりあえず、兄弟みたいな関係に近い。
「はい!あ、そうだ。教科書とアイス交換ってどう?」
大貴に教科書を渡す前に、突発的にそう提案する私。
「おぉ、じゃあ、今日の帰りな」
「了解!」
私がそういうと、大貴は「じゃっ」と手を振ってから、教室を後にした。