無気力王子とじれ甘同居。



教室を出て早足で、ダルそうに歩く松下くんの背中を追いかける。


トイレって言ってたけど…。


松下くんはお手洗いを通り過ぎて、そのまま階段を上った。



え〜〜!!


トイレ行かないの ?!


マイペースっていうか、もう嘘つきじゃん。


松下くんのテキトーさに呆れながらも、私は彼を追いかける。


覚えてる間にすぐに注意しなきゃ、後になって「そんなの知らない」とか言われそうで怖いし。



私は急いで松下くんの上ったばかりの階段を上った。



松下くんは、どんどんと階段を上っていく。


まったく…松下くんってば足が長いから追いつけないよ…。


序盤で息切れしながらも、必死に追いかけると────。


上からバタンという分厚いドアが閉まる音がした。




もしかして…松下くん屋上行ったの?



私は少し息を整えてから、残りの階段を一気にかけ上がった。




────やっぱり。


目の前には、ちゃんと閉まりきってない大きなドアの隙間から、細い日差しが差し込んでいた。



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