空に煌めく星よりも
「君、島生まれなんだ。僕と一緒だ。もしかして船通学だったりした?」
目玉焼きの黄身を潰しながら、面接中にも関わらず、人事の小沢さんと地元トークをしたことを思い出した。海、近くの駄菓子屋。こっちにはないスーパーの名前。
高校時代は持病のせいでほとんどを病床で過ごしたせいか、地元にこれといって仲のいい同級生がいない私は、友人ができたように嬉しかった。
真紘は、卒業したらどうするのだろう。就活している様子はないから、院に進むのだろうか。
なんとなく一緒に上京して、なんとなく一緒に暮らしているけれど私は真紘のことをほとんど知らない。
同じ大学の環境学部に通っている真紘は、天文学を専攻しているらしく、時々、なんだか難しそうな専門書を買い込んで本棚に積み上げているけれど、あまり熱心に勉強している様子はない。