跳んで気になる恋の虫
「ナミ、すごいよ、頑張ったねーー」
「ナミはバイトも辞めて頑張ってたもんねーー」
私の手には、準優勝のトロフィー。
うちの学校の高跳びでは、初めてのこと。
良い成績をおさめることに対して、部活のみんなはあまり興味がないと思っていたけれど、予想外に私をたくさん褒めてくれた。
陸上部、特に高跳びをやっているみんなは、部活は適当に、カレシとバイトは一生懸命って感じだった。
そんなことは知らずに、高跳びが好きで頑張りたいと思って入ったけれど、頑張ることに対してバカにされるのが嫌で、なんとなくみんなに合わせるようになっていった。
高く跳ぶよりカレシ持ちの方が上って考えの中で私は、自分の好きなことを精一杯やらずに、どうでもいいことに時間を費やす毎日だった。
そこに現れたのが虫屋。
何を言われても、好きなことをとことんやり遂げる楽しさを教えてくれたのは虫屋だった。
だから、この喜びと感謝を、早く虫屋に伝えたかったのに。
「じゃあ、お祭りでね。浴衣着てきてね!」
沙知が私の背中をポンと叩いて、帰って行く。
私も、着替えるために家に向かった。