跳んで気になる恋の虫


なんでこんな風になっちゃったのかな……。

高跳びが好きで、頑張りたくてここに来たはずなのに。

嫌味なほど真っ青な空を見上げる。

天気予報は、しばらく晴れの予報。

カレシをお披露目予定のお祭りも、多くの人出が予想されるって誰かが言っていた。

それなら、同じ日に行われる大会も雨で流れることはないだろう。

私はきっと、大会では全く跳べずに恥をかき、お祭りでは、浮気カレシの隣で愛想笑いしてるんだろうな。

それって何の意味がある?

フッと頭に浮かんだ自分の姿を吹き飛ばすように息を吐き、地面を蹴って走り出す。


……あっ!


バーの直前で踏み込む瞬間、大きなチョウがこっちに向かって飛んでくるのに気付いた。

このまま跳んだらぶつかっちゃう。

私は、咄嗟に掴んだバーと一緒に、分厚いマットに倒れ込む。


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