跳んで気になる恋の虫
祭りの夜のカブトムシ
神社に着くと、いつもは静かな境内が、今日はたくさんの人で溢れていた。
待ち合わせまでまだ少しある。
みんなもまだ来ていない様子だったので、私は石段を上って人混みを抜け、神社の裏手にある林に向かった。
少し歩けば、祭りの賑やかさと入れ替えに虫の声が響き渡るようになる。
こんな日に虫取りはしていないか。
どこかに虫屋がいるんじゃないかと思っていた私は、当てが外れて引き返す。
「あれ?ナミじゃん」
暗闇から聞き覚えのある声がして振り返ると、カレシとその腕を掴んで立つ色白で華奢な女の子が現れた。
部活で真っ黒に日焼けしている私とは正反対。
「ナミって誰?」
カレシの腕を掴んで女の子が言う。
よく見れば、浮気現場で見た女の子とは違う人だ。
「ん?俺のカノジョ。俺にどうしても付き合ってほしいって頼み込んできた女子高生」
「はははっ、マジ?うける~~」
女の子は、清楚な見た目とは裏腹な言葉と笑顔を見せる。