跳んで気になる恋の虫
青と白のはっきりしたコントラストの空に、ひらひらとチョウが舞っているが見えた。
あれは、どの子かな……。
虫屋と一緒に羽化を見届けたナミアゲハは全部で5匹。
全て区別がつく虫屋と違って、私はまだどれがどれだかさっぱり区別がつかない。
……あれも、ナミってことにしとこ。
チョウは毎日同じ軌道を飛ぶ。
彼らの寿命を知った今、今日もまた姿を見られてホッとした。
「ナミ、いつまで寝てんの?後がつかえてるから、早く起きて起きて」
沙知に促されて体を起こした。
「ごめんごめん」
スタート位置にいるみんなに頭を下げて、マットからピョンと降りる。
何気ないふりして花壇に視線を送ると、キミの手にチョウがゆっくり降りていくのが見えた。
ミカンの木は、虫屋の訴えでチョウが全ていなくなってから切ることになったみたい。