跳んで気になる恋の虫
ナミアゲハについて先生たちにも理解してもらいたいと、ノート一冊分、びっしり書いたそうだ。
「ねえ、虫屋、そろそろ私のことについても、研究始めてくれてもいいんだよ?」
学校からの帰り道、チョウの研究について熱心に話す虫屋に言った。
「……飛島さんを研究ですか?」
「うん……例えばだけどね、私の手は熱いか冷たいか……とか」
虫屋の顔色を伺いながら言ってみる。
気付けよ虫屋!
「うーん、そうですね、飛島さんは運動した後だし、血色もいいので熱いはずです。当たりでしょ?」
いや、違うから。
そこは、手を繋いで確かめるとこでしょうよ、虫屋くん!
「はずれ」
「え?そうなんですか?意外です」
「意外ならば、確かめてよ。虫なら意外な結果が出たときは、絶対確かめるでしょ?」