君を、ずっと。【完】
振り返るとそこには猛スピードで私目掛けて進んでくるトラックの姿。
きっと今ここで走って横に逃げたら、助かる。
早く、早く足を動かさなきゃ。
わかっているのに、足が竦んで動いてくれない。
『お前は結局誰でもいいんだな』
あぁ、なんで今こんな時に思い出すんだろう。
あの時の言葉。
違う、違うよ。
たった一言。
否定の言葉を言って、
『神山じゃなきゃ、ダメなんだよ』
たったそれだけ。それだけ言えたらなにか変わっていたのかもしれないのに。
“好き”
たったその二文字が言えていたら
今も私は神山の傍に、隣に堂々といれたのかもしれないのに。