僕等の青色リグレット
「晴登は昔からちょっと変わってて、誰もおらへんのに人がおるとか、女の人が泣いてるとか、もうすぐ地震が来るとか、そういうのを言う奴でな」
「霊感があったんだよね?」
「そうや、本人曰くな。けど、周りからしたら気持ち悪いし予知っぽいこともするから怖いって煙たがれるようになってな、そんな時、風子だけは晴登の話を聞いてやっててな、あぁあとハナさんもな」
おばぁちゃんの名前を出した時、輝くんは口元をほんのり緩めてこちらを見た。
輝くんもおばぁちゃんのことをよく知っているのかな?
「ハナさんの家で、風子とよく遊んでたらしいで」
そっか、晴登くんがおばぁちゃんの家に来たとき、隣の家の風子ちゃんも遊びに来ていたんだね。それで、一緒に話を聞いてあげていたのかな。
晴登くん同様、優しい風子ちゃんのことだから、真剣に聞いてあげたのだろう。
その光景を想像すれば、微笑ましいもののはずなのに。
私の胸は張り裂けてしまいそうなほどにズキズキ痛み、今にも千切れてしまいそうだった。
『身内以外で、芙海が初めてや』
晴登くんの不思議な力を気持ち悪く思わないと言った時、彼はそう言った。身内以外でって。それって、風子ちゃんは身内のような存在だってこと?
「晴登にとって風子は特別なんや」
「そう……」
「だから、頼む! どうか晴登の力になってやってくれ」
「輝くん」
「身勝手なのは分かってる。けど、俺にはどうにもしてやられへんから。晴登も風子も、優芽にも本当は合わす顔が無いんや」
「優芽にも?」
「あいつにとっても風子は大事なお姉ちゃんやったから、悲しませてると思うと申し訳なくて」
なるほど、そういうことだったんだね。